カスタムモンキーの修理依頼。
ホームページを見たというお客様より電話を頂き、カスタムモンキーを診断してほしいいとの事。
お電話の段階で分かったことは、
現在は長期保管中の車両で、おそらく不動車とのこと。
元オーナー様は既に鬼籍に入られており、生前に製作したカスタムバイクであるとの事。
故人の形見として保管している車両だが、動くのか確認したいというご家族からのご依頼。
かなりのカスタム車で、作った人にしかわからない部分もあろうことから、
ご家族の話では、「直せる人なんているのかしら・・・。」と不安なご様子。
詳しくお話を伺ったところ、元オーナー様はかなりのバイク好きの方だったようで、生前は何台もバイクを所有されていたそうです。
しかし元オーナー様が鬼籍に入られた後、
元オーナー様の思いが特に籠っていたであろうこのバイクだけは、ご家族の元に形見として残されることになっていたたそうです。
そして元オーナー様のお子様が、将来そのバイクを受け継いで乗ってみたいということ。
その為に、形見として残すだけではなく、機能を維持するためにメンテナンスをしたいとの事。
(T▽T) い~い話じゃないですか。
私はそういう話に弱いんです!
これはもう、断るわけにはいきません!
たとえカスタムバイクでも絶対に直して差し上げたい!
私も大のバイク好き!しかもカスタム大好き!
元オーナー様には奇妙な仲間意識すら感じてしまいます。
俄然やる気が出てきました!
そしてお客様宅へお伺いし、実際の車両を目にしました。
非常に美しい車両でした。
元オーナー様がどれほどこのバイクを大事に組み立てていたかが一目でわかりました。
ご家族から色々お話を伺い、修理の方向性も少し見えてきました。
こういうバイクのメンテナンスは分解しないと何もわからないので、とりあえずお預かりして、トラック積載で持ち帰りとなりました。
翌日早速分解していろいろな部分をチェック。
まずオイルとガソリン。
放置された期間は数年でしたが、見事に腐っていましたので全部抜いて新しいものに入れ替えます。
当然、腐敗したオイルやガソリンが触れていた部分は全て洗浄します。
特に大変なのがキャブレター。(通称キャブ)
(空気を吸い込んで、霧状にしたガソリンと一緒に混ぜ合わせてエンジン内部に燃焼用ガスを送り込む装置です。)
写真の真ん中にあるのがキャブ。
しかしこのキャブ、デカすぎです。
計ってみたら一般の原付と比べて吸気穴の開口面積比で約3倍のサイズ。
どんだけ空気吸い込みたいんだよ(笑)
・・・話がそれましたが さてこのキャブ、
腐敗ガソリンの影響で動きが鈍くなっていました。
保管開始時にはご友人によるご協力が有った様で、ガソリンホースは塞いであったのですが、キャブ内には多少のガソリンが残ったままだったようです。
残ったガソリンがキャブ内で劣化・腐敗した影響で、キャブの各部も固着してしまったようです。
キャブを取り外して分解して洗うしかありません。
普通はここで 「うわ、メンドくせ」 となる所ですが、
私は放置車両のレストア作業は大好きなので、ワクワクしてきます。
パパッとキャブを外して洗浄を始めます。
キャブレターは内部まで完全分解して徹底的に洗浄。
再組立てして取り付け。
中も外もキッチリ奇麗になりました。
この後細かい部品を組み付けたり、ワイヤー類の調整や固定部分を補強して完了。
無事にエンジン回りのメンテナンスが終わったのでエンジン始動テスト。
アイドリング調整なども済んで、走行テストも無事に完了。
ご家族に動画でエンジン始動の様子を送信したところ、大変喜んでいただけました。
ご家族と相談し、とりあえずエンジン始動までで今回のメンテナンスは一旦終了。
故人の形見ということもあり、今は大掛かりに手を入れず、お子様がこのバイクに乗れるようになる日まで、最低限の維持を行うという方向で纏まりました。
そして本日、ご家族の元へお届け。
元オーナー様のお子様も、初心者がいきなりこのバイクに乗るのは無茶だと解っているようで、まずは普通のバイクに乗って、そこからのステップアップ先として考えているそうです。
焦ってどうこうせず、形見の車両をじっくり大切に扱おうというお気持ちに、お若いのに大変素晴らしい方だと関心させられました。
まずは通常のギア付きバイクに上手に乗れるようになって、その後にこの素晴らしい車両を受け継いで差し上げる方が、元オーナー様もより喜んでくれるのではないでしょうか。
お子様が将来このバイクに乗れるようになったら、故人の思いが詰まった車両と共に色々な所に遊びに行ってほしいですね。
今回はとても暖かな気持ちになれるご依頼でした。
練習用の中古車両を探したり、貸し出しバイク等のご検討もご相談可能です。
またのご依頼、お待ちしています。
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