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2016年7月20日水曜日

タンデムキャノピーDX_(12) ボアアップエンジンのセッティング

タンデム仕様 ジャイロキャノピーDX

前回の記事で車両作成は完了したのですが、
エンジンの事を記事にする機会が無かったのでそちらを書きます。


ボアアップエンジンの最終調整。

組み立てる前にピストン・ピストンリング・シリンダーを2000番のペーパーで面取りします。
面取りした各部品はモリブデンのドライコーティングを施し、組み立て準備完了です。

まずはガスケットを通常より一枚多めにした、低圧縮仕様でエンジンを仮組します。

仮組したエンジンはアイドリングでしばらく放置します。
こうして馴染ませてエンジンの音をチェックします。

次に試走コースへ。
試走で問題なければ圧縮を通常に戻すためにガスケットを一枚減らして再度組み立て。

続いて駆動系とキャブレターのセッティングを行います。

何度かセッティングを変えて導き出した今回のセッティングは、
メインジェットは#85番、
ウエイトローラーは7.5グラム×6個、
が、ベストセッティングでした。

上記セッティングでは、低圧縮にもかかわらずトルクモリモリでスタートダッシュしてくれました。
計測用のタコメーターで7000回転まで回しつつ10分ほど試走した後にガレージに戻ってエンジンチェック。

プラグの焼け具合はキツネ色でバッチリでした。

ピストン・シリンダーのオイル潤滑も十分な状態で、
キズや焼けも発生していません。
ヘッド周りや排気口もカーボン汚れは全くなし。
これでエンジンの作業は完了となります。
外装の細かい部分の取り付けをして完成です。

エンジンセッティングは何度も組み立てたりバラしたりなのでとても重労働です。
ウチは40弱の私と、20代のスタッフ数人で仕事を回してますが、
若いスタッフがバリバリ働いてくれるからこそできる仕事ですね。
1日の内に何度もエンジンをバラすのは、私ひとりでは絶対に無理です。



2016年7月16日土曜日

タンデムキャノピーDX_(11) 完成

タンデム仕様ジャイロキャノピー、完成しました。

制作した外装類を一度分解してチェックし、問題なかったら全て取り付け直して車両完成です。

完成後の写真が以下の物です。


続いてタンデム用装備です。



後輪は40mmワイド化し、さらにオーバーフェンダーを取り付けました。


今回のご注文では、延長フレームとボックスを装備しています。


以上で完成となります。
近畿地方からのご発注なので、車両はこの後に長距離の輸送です。
現地でのナンバー取得の上で、お客様のお役に立つ日が早く来ると良いですね。

2016年7月14日木曜日

タンデムキャノピーDX_(10) タンデム用フレームの塗装と仕上げ

タンデム仕様ジャイロキャノピー
タンデム用フレームが完成しました。

今回はDX版なので、タンデム用グリップが付きます。
先日のブログにてアップした溶接が完了した状態です。



このフレームを車両から再度取り外して、錆止め塗料の黒色で塗装します。



塗装が乾いたら車両に戻します。

仕上げにグリップの鉄パイプ部分にスポンジ製のグリップと、
バーエンドキャップを取り付けます。



タンデム化するとバックレストカウル(シートキーの部分)がパカパカするのですが、
増設フレームからステーを伸ばして土台を作る事で固定できるようにしました。



増設フレームはこれで完成です。

2016年7月13日水曜日

タンデムキャノピーDX_(09)タンデムグリップ作成

タンデム仕様ジャイロキャノピー
本日は同乗者用のグリップ部分の作成状況を記載します。

すでに制作済みのタンデムフレームに、
グリップの土台となるアームを溶接します。

まずは溶接位置にアームとなる角パイプを置いて完成形のイメージを確認します。



ケガキや点付け溶接で位置を合わせます。



位置合わせが済んだらタンデムフレームを取り外して本溶接します。



フレームが取り外された状態はなんだか寂しいですね。

溶接後は以下の様になります。



これで土台が出来ました。
溶接部分をサンダーで均したら、
次はタンデムグリップを溶接します。

写真整理中なので続きは次回更新にて。

2016年7月12日火曜日

タンデムキャノピーDX_(08)外装・ロングルーフ制作

タンデム仕様ジャイロキャノピー
発注していた外装セットとボックス、ルーフが届きました。

スクリーンは新品を使用します。
アッパーカウルはヒビや傷が無い物を準備しました。

ルーフは二枚接合してロングルーフを制作しました。
FRPで大きな屋根を作れればもっと自由な形にすることもできますね。
今後の課題の一つです。(実は型を制作中です)

ボックスはお客様の指定で形状・サイズを選択していただきました。


エンジン・フレームが仕上がり次第上記の外装を取り付けます。

2016年7月11日月曜日

タンデムキャノピーDX_(07)フロントサスペンション周りOH

こんにちは、先日はフロントホイールの消耗品を交換しました。
今回はフロントサスペンションおよびその周辺の部品交換を掲載します。


サスペンション基部は車重を受けて摩耗するので、定期的な部品交換が必要です。
ジャイロキャノピーのフロントサスペンションはボトムリンク式なので、
ボトムリンクアームを取り外してブッシュを交換します。


ボトムリンクアームを取り外しました。
アームに取り付けられている細かい部品を交換します。


ボトムリンクとフロントフォークの接続部分も交換します。


そしてサスペンション上部のブッシュ・カラーも全て交換します。




残念ながら作業中はグリスまみれになる為スマホを触れなかったので、
作業中の写真はこの程度しか有りません。

今回交換した部品は以下の図面のピンク印の部分です。


次に組みあがりの状態を掲載します。



ホイール周りをオーバーホールするとガタも収まり快適に走れるようになります。


当店で販売するタンデムキャノピーDX版は、
こういった細かい部分にも手を入れたふる・オーバーホール車両です。

当然お値段は高くなりますが、
その分満足できる仕上がりになることはお約束します。

次回はいよいよ外装類の写真を掲載します!


タンデムキャノピーDX_(06)フロントホイールベアリング交換

タンデム仕様ジャイロキャノピー DX版
フル・オーバーホールの為に各部の分解修理を行っています。

今回はフロントホイール内のベアリング交換を掲載いたします。

まずは交換前です。



真ん中の赤い部品がベアリングですね。今回はこちらを交換します。

この写真では赤いベアリングを手に持っていますが、
実際に交換したのは耐久性の高い別のベアリングです。
交換作業の直前に届いたので急遽そちらを使いました。



いきなり交換後の写真です。
作業中に写真を撮る余裕が有りませんでした。

この黒いベアリング、通常の物より耐久性(定格荷重)と許容回転数が高い物です。
今回の作業の直前に届いたのでこちらを使用しましたが、
通常のベアリングでも問題は御座いません。
なお、2ストジャイロキャノピーのフロントホイールベアリングは、6201という物です。
外径32mm、内径12mm、幅10mmのゴムシールベアリングです。

ホンダ標準の物は片側ゴムシールを採用していますが、
これはマメな注油(グリス封入)を行わない限り雨などで錆びてしまいます。



これは取り外したホンダ純正ベアリングです。
表側はまだシールが残っているので綺麗ですが、裏側はサビでグリスが変色していました。
まだグリスの軟粘性が残っているのでガリガリまではいかず、回転はスムーズでしたが、
やはり交換しておけば安心できる部分ですね。

交換時には今回の様に両面ゴムシールの物を使用するのも有りだと思います。
(厳密にいえば回転抵抗は増しますのでお勧めはしません。自己責任でお願いします)
今回は回転数の高い両面シールベアリングが手に入ったので、ラッキーでした。

ベアリングを交換したら、その上にオイルシール(ダストシール)を圧入します。
これはベアリングを外部のダストや水から保護したり、グリスの流出を防ぐための物です。



追記:
この写真の撮影後に更に性能の高いオイルシールを入手しました。
組み立て後の写真では交換してありますので後ほど写真をご覧ください。

では次にブレーキハブ側の消耗品を交換します。



これがブレーキハブです。
また作業中の写真が無いのですが、
中心の大きなオイルシールや、右側に写っているブレーキカムを交換しました。

夜だったので一旦中断し、翌日更に部品交換します。



こちらが昨夜の続きです。
メーターギヤー奥のブッシュや金属カラーを交換します。
ハブのすぐ上に並んでいるのは古い部品です。
その上に有る袋に新品部品が入っています。

そして新旧部品の比較写真がこちらです。





古いブッシュとカラーはガタが出ていました。
新品はやはりキチッとしています。

ダストシール(黒い蓋)も摩耗が有りました。
これではグリス漏れや、ダストの浸入を許してしまいそうです。

これらを組み立てると以下の様になります。





追記:
先ほど書いたオイルシールですが、通常よりシール性の高い物が入手できたので、
更に交換しました。



こちらのシール材はホンダ純正部品では御座いませんが、
1mm厚くなり、シールリップもダブルなので採用しました。

フロントホイールのブレ対策にはベアリングとブッシュ・カラーの交換が必要です。
これらの症状にお悩みの場合は当店までご相談ください。

次回はフロントサスペンション周りのブッシュ・カラー・シール類の消耗品を交換します。

2016年7月10日日曜日

タンデムキャノピーDX_(05)ステムベアリング交換

ジャイロキャノピーフルオーバーホール◆ステムベアリング交換

今回はステムベアリング交換の様子を掲載します。

まず作業前の写真です。


この後ハンドルを取り外し、ステムベアリングを交換します。
ハンドルを取り外して、3枚組のナットを取り外します。

このナットを外す前には、
ナットに噛み込んでいるロックワッシャーを広げておく必要が有ります。


大きな2枚のナットに挟まれているプレートが、広げてあるのが解るでしょうか。
ここがロックプワッシャーです。写真では取り外しの為に広げて有ります。

こうすることで上の2枚のナットを取り外す事が出来ます。

2枚のナットを外すと、ロックワッシャーも抜き取ることが出来ます。

最後に残った1枚のナットを取り外すせばステアリングステムがフレームから取り外せます。
この時注意しなければいけないのはステムを落下させない様に支えておくことです。

ステムが取り外せたら、いよいよベアリング部品を交換します。

下の写真の左側のテーパーベアリングがアッパー用。
右側のボールベアリングがアンダー用です。

それぞれを取り外して並べてみました。
外側が古い部品。内側が新品部品です。


新品のベアリング部品をフロントフォーク(ステムシャフト)に入れます。
まずはアンダー側です。


このとき、新しいグリスを十分に塗り込みます。


ジャイロキャノピーは屋根が有るため、
水の浸入でステム部が錆びる事はそうそうありません。
とはいえ、万が一を考えて入念にグリスを充填します。

次にアッパー側です。


アッパー側はローラーベアリングなのでグリスを入れにくいですが、
グリスガンや指先の感覚で奥までグリスを充填します。



このようにキッチリとグリスを充填して、ステアリングステムを元通りに差し込みます。


ステムを差し込んだら、軽く回してグリスを循環させ、ステムを一度抜き取ります。
ここで更に再度グリスを充填しておきます。

これで、ステムの回転によって多少グリスが移動しても問題は無いでしょう。
では再度ステムを差し込み直し、ワッシャーを嵌めていきます。



ロックワッシャーも忘れずに挟み、きちんとワッシャーをロックします。



ロックワッシャーを曲げてロックしているのが解るでしょうか。
ステムベアリングの交換は以上です。

次回はフロントホイール周りのオーバーホールをお送りいたします。