ジャイロキャノピー 中古車選び
当店はジャイロキャノピーを始め、
ジャイロシリーズに強いのがウリです。
ジャイロシリーズの修理やカスタムはもちろんですが、
当然、中古車の販売も行っています。
中古車選びのコツはいろいろあると思うのですが、
やはり車両の痛みや、それを販売店がきちんと整備しているかが重要です。
バイクに詳しくない方の場合、
痛み方の判断は難しくなるものです。
特にエンジン内部などは分解しないとわからないので、
我々プロでも見落とす場合すらあるのですから。
さて、そんな中古車選びの際、
ジャイロキャノピーでは1つ、解りやすい痛みのポイントがあります。
バイクに詳しくなくてもわかる、
ひと目見れば簡単にわかる部分です。
車体の足元、ステップ後方の更に下側(裏側)、
ココを左側面から覗き込んで見てください。
下の写真の黄色いマルの部分です。
乗車姿勢で表すと、左足のカカトの真下に当たる部分です。
この部分、車体とエンジンを繋ぐボルトなのですが、
このボルトが入っている穴に、ブッシュ・ダストシール・カラーが有ります。
ブッシュ = プラスチック製のパイプ状の部品。
ダストシール = ゴム製のリング状の部品。
カラー = ブッシュやカラーの中を通る金属のパイプ状の部品。
車体とエンジンを繋ぐボルトは、金属製のカラーの中を通っています。
このブッシュやシールは常時、金属のカラーと擦れているため、
キャノピーの重量で徐々に摩耗していきます。
ブッシュやシールが摩耗すると、砂などの粉塵が入り、
金属製のカラーですらも摩耗してきます。
特にブッシュやシールは摩耗しやすいので、
症状が悪化すれば当然、穴が縦に広がってしまいます。
金属製のカラーはボルトの向こう側なので目視では確認できませんが、
ボルトの頭はカラーと同軸上に存在します。
つまりカラーと一緒にボルトが縦方向にガタつく様になります。
この摩耗を確認する方法として、
パーキングロックをかけた状態で車体を軽く左右にゆすってください。
ボルト(と一緒にカラー)が上下に動いてしまった場合は、
ブッシュが摩耗して穴が広がっています。
ブッシュとシールの穴は上方向に摩耗が進むので、
ひどい場合は下側に目視で隙間が見えてしまう場合があります。
下の写真はボルトとカラーが上に移動してしまい、
ブッシュやシールの隙間が見えてしまっている状態です。
中古バイク販売店でジャイロキャノピーの中古車を選ぶ際は、
ぜひこの部分を確認してみてください。
確認して、もしガタが出ている場合、
販売店さんにこの部分を修理できるかも聞いてみると良いでしょう。
ココにガタが出ている車両の修理のためには、
車体とエンジンを繋ぐボルトを抜き、
圧入されている部品たちの交換作業が必要になります。
車体とエンジンを分離することになるので、車体を吊っての作業になります。
圧入されたブッシュやシールを抜くには専用の工具や治具が必要です。
新品部品を圧入しなおすのも同じく、です。
おわかりだと思いますが、結構面倒な作業です。
時間も労力もかかりますし、
何より経験と技術を要する作業です。
部品を交換するので、当然ですが部品の費用もかかります。
ジャイロキャノピーの中古車をお探しの皆様。
ヤフオクやジモティーで格安販売している車両で、
この内容の整備をやっているお店があると思えますか?
もちろん、まともなショップであれば、
この作業はできて当然、やって当然、です。
しかし、技術の無いショップではできない場合もあるでしょう。
時間や部品代を惜しむ悪質なショップも同様にやらないかもしれません。
この部分を交換できるか(しているか)どうかが、
ジャイロの中古車を買う際のショップ選びのひとつの指針になると思います。
ご安心ください。
当店で販売する車両では、
ブッシュが傷んでガタが出ている場合は交換しています。
中古車販売以外にも、一般的な整備の場合の対応用に、
ブッシュ類の在庫も常時確保してあります。
参考までに、この部分の部品番号や費用などを記載します。
52109-GAG-751 ブッシュ,ジョイントケースピボット 990円
52142-GAG-750 カラーB,ジョイントケースピボット 1360円
91208-PG1-005 ダストシール 18x23x4 205円(2個必要)
部品代が合計2760円(税抜き)です。
次に作業工賃ですが、
パーツリストに記載の、工賃算出の為の標準作業時間は以下の通りです。
2サイクル車:2.3h、
4サイクル車:2.5h、
上記はジョイントケース脱着(ケースまるごと交換)の場合です。
ケースまるごと交換は、作業はシンプルですが部品代が数万円かかりますので、
実際にはブッシュ部分のみの打ち換え・再圧入となり、
この作業でプラス0.2~0.5h程度かと思います。
つまり
2サイクル車:2.5~2.8h、
4サイクル車:2.7h~3.0h、
になるかと思われます。
1.0hあたりの時間工賃はショップによってまちまちです。
例として、当店近隣のホンダディーラーの場合は1.0h=12000円でした。
ここではとりあえず、計算しやすいように、
1.0h=10000円で計算してみましょう。
上の作業時間で計算すると、
工賃が25000円~30000円(税抜き)程度、
部品代と消費税を入れたら、3万円~35000円程度です。
さて、話を中古車選びに戻しますが、
中古車を購入する際にこの部分が整備済みであれば、
約3万円相当の整備が含まれていると思って良いと言えることになります。
購入後に整備する場合は、コレくらいの出費が必要になる、とも言えます。
中古のジャイロキャノピーを探す際に、
こういった部分が探す際の参考になると思って記事にしました。
そもそもこの話を書いたのは、
先月末、当店の情報をHPやブログで見たお客様からの電話がキッカケです。
このお客様は関西の方でしたので、
当店の在庫車両を見ていただくことなどはできないですし、
陸送代を考えても、地元関西の近隣ショップで購入するほうが良いだろうと思い、
中古車選びのコツをお伝えさせていただいていた中で、
このブッシュ部分の摩耗のチェックの話をさせていただきました。
地元の関西で購入するのであれば当店のお客様にはならないわけですが、
せっかく当店の技術や知識を求めてお電話くださったので、
少しでもお手伝いをできればと思っての事でした。
(本記事のブッシュの部分の写真は、この方に説明するために撮った写真です。)
この後、GWが開けて5月8日の本日、
このお客様より再度お電話をいただき、
「陸送代がかかってもいいからタナベファクトリーで車両を注文したい」
というありがたいお話をいただく事ができました。
東京から関西までの陸送代は数万円掛かることもお話したのですが、
それでもタナベファクトリーを信用して注文したい、とのことでした。
本当にありがたいお話です。
これからもしっかり整備した、良い車両を売っていこうと思います。
このお客様の為の車両はこのあと車両の確保と整備を開始しますが、
整備の進行内容などをここで掲載できれば良いな、思っております。
では今回はこのへんで。
長々と読んでいただきありがとうございました。
この情報が皆さんの良いバイクライフのお役に立てば幸いです。